土地区画整理事業地内の売買とは?条文の上をクリックすると根拠条文が見れます
土地区画整理事業とは,都市計画区域内の土地について公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため,土地区画整理法に基づいて行われる土地の区画形質の変更および公共施設の新設又は変更に関する事業をいいます。この事業が健全な市街地の造成を図り,もって公共の福祉の増進に資する事を目的としており,そのために換地処分という行政処分によって,従前の土地を換地に変更し,公共用地を生み出すとともに,宅地の区画形質を改め,市街地を整備するものとしています。この事業の実施にあたっては
T.換地計画の決定(区画整理法86条)
2.仮換地の指定(区画整理法98条)
3.建築物等の移転及び除却
4.換地処分(区画整理法103条)
の順序にしたがって行われます。
次に仮換地の指定が行われますと,次のような法的効果が生じます(区画整理法99条)。それは
T.従前の宅地について権原に基づき,使用又は収益できるものは,仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで,仮換地について従前の宅地について有する権利の内容で使用又は収益することが出来ます。ただし,従前の宅地については使用又は収益する事は出来ません。
2.仮換地について権原に基づき、使用又は収益出来る者は,仮換地の指定の効力発生日から換地処分の公告がある日までは使用又は収益することは出来ません。
そして換地処分は換地計画にかかわる区域の全部について,土地区画整理事業の工事が完了後、遅滞なく関係権利者に換地計画において定められた換地や清算金などの事項を通知することにより行われます(区画整理法103条1項2項)。
以上,仮換地指定処分による換地予定地は,依然としてその予定地の所有者に属しており,従前の土地の所有者に属するものではありませんが、売主である従前の土地の所有者は換地予定地について使用又は収益できるとともに、従前の土地の所有権を有しているのですから,換地予定地の売買はその換地予定地に対応する従前の土地の売買であるといえます。
なお,土地区画整理事業の施工後,宅地の価格の総額が事業施行前よりも減少した場合や,換地予定地が減歩されて換地処分がされた場合には,施工者は関係権利者に対して減価補償金ないし清算金を交付することとされています(区画整理法109条・ 区画整理法110条)。