立退きに関する質問
ホームページを拝見させていただきました。
くまもと@横浜
と申します。現在、我が家は父と娘の二人暮らしです。20年近く借家住まいをしておりますが、大家から急な立ち退きを要求され、困ってます。
もしお分かりでしたらご教授頂きたく、メールさせていただきました。
今までの流れは以下の通りです。
1.当方は1フロア1世帯のアパート(2階建て)を1階2階とも 全て借りている。(昭和57年頃から)
間取りは2K(1階)&3K(2階)。
また、仲介業者を通さず、個人的に契約したもので、 契約書等は一切発行していない。(更新期限等もなし)
家賃は月6万円。
2.大家は市営住宅に住んでおり、改築のため、立ち退きを要求された。
3.よって当方に近いうち、出ていって欲しい旨、口頭で連絡があった。
(期日指定なし)
4.その後、大家より「1階だけ明け渡してくれれば2階は住んでて構わない」と口頭で言われ、1階を空けさえすれば良いものと思っていた。
5.1階の荷物の整理が少しずつ片付き始めた11/2(金)に大家と父が町で会い、立ち話程度で
「今月は家賃を貰っているから構わないけど、運送代くらいは出すから今月中に2階も出ていって欲しい」と言われた。
その理由として
(1) 市営住宅の立ち退きが今年中である事。
(2) 現在、建物はかなり老朽化しており、住む前に改築が必要。
当初は1階だけの予定だったがその際に2階も改築が必要なため。
*以上の理由は今回初めて聞いた事。 *
*また、書面での立ち退き要求・期日指定はなかった。*
現在、上記のような状況です。
当方は父の仕事の関係上(内装工事業・請け負い)都心に車で行く事が多く、現在住んでいる所よりも都心からの交通の便が悪くなると、困る。
また年齢が60才で、今後、職が減る事が見込まれており、年金生活になった時を考えると高額の家賃の所には住めない。
よって市営住宅、県営住宅を申し込もうと問い合わせをしたが、現在、募集を行っておらず、またまもなく募集が始まる県営住宅も抽選で通り、入居するまでに2・3ヶ月はかかるとの回答が来た。
また、急な事であり、引越しに際しての敷金礼金を工面できないでいる。
その際に、大家に今月中の立ち退き要求として、
1.新居に入居する際の敷金礼金の支払い。
2.引越し費用の支払い。
をしたいと思っております。
この要求は、上記のような状態でも、請求できるのかわかりません。
また、その他に要求できる事はどのような事でしょうか?
ホームページを見させていただいた時に、新家賃との差額(2〜3年分)と書かれてましたが、それも要求出来るのでしょうか?
また、要求するにはどのような方法が一番良いのでしょうか?
初めてメールさせて頂いたのに、この様な不躾な質問をし、申し訳ございません。
区役所等に行っても相談窓口が無く、どこへ相談してよいのかわからず、急を要しているため、ご質問させていただきました。
お忙しいとは存じますが、是非回答を頂きたく、宜しくお願いいたします。
熊本@よこはまより
上記の質問への回答
メール拝見しました。急な立退き要求をされて大変困っておられる様子が浮かびます。質問のポイントは家主が借家人に対して明け渡しを要求しなければならないかどうかの家主側の「正当事由の有無」の内容と程度だと思います。それと急な立退き要求とありますが、家主側からの契約更新の拒絶は借家法第3条(賃貸人からの解約申入期間)により6ケ月前に解約の申入れをすることになっていますから仮に家主側の明渡し要求の正当事由が認められたとしてもすぐには立ち退く必要はありません。
問題は正当事由の有無の判断ですが、借家法第1条の2に「更新拒絶または解約の制限」とあり、正当事由のことが抽象的に書かれていますが、これだけでは現実に発生している事象の解決には何らなり得ないし、条文を読んだ人もなんとなく納得したという感じしかもち得ないものと思われます。
では正当事由の有無の具体例について下記に述べます。参考にされると役に立つと思います。
1.家族の状態
貸主が自己使用を必要とする具体的な事項のひとつとして、その家族の数,年齢、健康状態などが考慮されます。これと対比して,借家人の家族の状態が比較され,どちらがより多くその建物を必要とするかが問題になります。
2.資力
家主に資力があって,賃貸している建物を自己使用しなくても、新しく他に建築するとか、他人所有の建物を買い受けることが出来る場合には、自己使用の必要性は少なくなります。一方、借家人に資力があるときは、移転先を定めて現在の借家を明渡すことも可能であることから借家人の正当事由が認められる範囲は小さくなります。借家人に資力がないと解かっていてこれを追い出してしまった場合には、借家人が住居もないまま路頭に迷うことになり,家主の正当事由は認められません。
3.移転先の有無
借家人が借家を明渡した場合に、移転先を確保することができるかどうかが考慮され、移転先がないのに追いたてるのは社会通念として許されませんから、家主の正当事由は認められません。
4.職業
借家人の職業が考慮され、借家人がその借家を借りうけたのは、職業と関係があり、つまり仕事に適した建物であるとか,職場に通うのに便利であるとかの事情が考慮されます。もし家主の正当事由を認めて、借家人に明渡しの義務を負わせてしまったならば、借家人は自分の仕事を継続できなくなるかもしれませんから、この場合も家主の正当事由は認められにくいでしょう。
以上、概略ですがあなたからのメールでは上記のことの判断が正確にできないので結論を下すことはできませんが、上の具体例から家主があなた方に明け渡しを要求している理由が「立退きの正当事由」にあまり当てはまらないのであれば、あなた方の「家を借りつづけるという正当事由」の方が強いということになり、ホームページにも書いていましたとおり通常の立退き料として、引越代、敷金や礼金、2ないし3年分の現在の家賃との差額分、また家主があなた方の転居先捜しを一切やらす゛,ほとんどあなた方で転居先捜しをしたのであれは゛それらの経費まで要求していいと思います。これらが全部認められるためには家主の正当事由とあなた方の正当事由の大きさが上記に述べた幾つかの具体例に当てはめながら天秤にかけられて判断されることになります。
熊本県菊池郡の大田宅建事務所より
回答頂き、本当に有り難うございます。
どのように対処していったら良いか、大家と話し合いのポイントを掴めた気がして、とても助かりました。
本当に有り難うございました。
さっそく話し合いの場を持ち、なるべく円満に解決できるようにしたいと思っております。
本当に有り難うございました。
横浜市神奈川区 熊本