不動産が高値で売れるという幻想をばら撒く「不動産一括査定」とは?

数社のというより、今では雨後の筍のように次から次に出てきている「不動産一括査定屋さん」のサイト数は正確に数えたことはありませんが、恐らく,ネット上で優に数十社はあるものと思います。

世の中、儲かると思えるものには個人も会社も飛びつくものです。「不動産一括査定屋さん」の査定というビジネスモデルも確かに儲かっているのかもしれません。ですから次から次に同じようなタイプの「一括査定屋さん」がたくさんインターネット上に現れています。かれらもヤフー等の多くのページにかなり高い料金を出し続けて自社の一括査定サイトに誘導すべく努力をしています。   

ですから不動産業者は査定を依頼してきた顧客の個人情報の他、物件の不動産内容を「査定屋さん」から受け取るたびに高い料金を「査定屋さん」に支払っています。

ただどれ一つとして、何故自社の「一括査定」に依頼すれば顧客の不動産を高く売却できるのかという点については全く又は殆ど述べていません。ただ「高く売れます!」ということを繰り返しインターネット上の広告で連呼している感じが見受けられます。地方の市町村議員が選挙の際に、選挙カーから自分の名前を連呼するだけによく似ています。これは行き過ぎると根拠のない誇大広告にも該当しそうだし、まさに迷惑なノイズと云ってもいいのかもしれません。何の根拠なく「貴方の不動産は高く売れます!」と云い続けることは何の問題もないのでしょうか?

  公正取引委員会という組織があります。不動産業界に身を置くものとしてこの「公取」の定めた厳しいルールには皆が皆従っています。例えば売地の広告を出す際に「環境抜群」「日当たり抜群」「眺望抜群」「価格破壊」とかどれを取ってもNGなものばかりです。挑発的な言葉や文句、説明等によって消費者に正しい判断をさせなくするようなものは御法度ということになっています。

それらを無視した広告を打ったりすると業者は罰則を受けるということになります。「高く売れる、高く売れる、高く売れるよ!」といったフレーズを繰り返すのはテレビコマーシャルにも似たような言葉があるようです。人間耳元で何回も何回も同じ言葉を耳元でささやき続けられれは゛心が動くものです。あのドイツ帝国のヒトラーの右腕であった宣伝相ゲッペルスが駆使した、人々の心に響く単純な言葉を繰り返すのです。そうすれば人は靡くのです。

  このことを考えたとき現在の「不動産一括査定屋さん」が大きく打ち出している「高く売れます!」というフレーズはかなり問題ありと云えます。

クルマのように中古車販売業者さんが「高く買取ります!」というのとは少し訳が違うのです。「不動産一括査定屋さん」の云う、「高く売れます!」とは自社のサイトに登録している各不動産業者が査定依頼をして来る顧客の不動産を「高く買取る!」ということでは全くなく、仲介で「高く売ってあげる!」ことができるかもしれませんということを云っているに過ぎないということです。

 「不動産一括査定屋さん」のサイト内容で査定方法を選択する箇所があります。机上査定と訪問査定の2種類があります。どこの不動産業者さんも恐らく同じようなことと思いますが、「一括査定屋さん」から送られてくる内容のほぼ9割以上が「机上査定」になっています。「机上査定」を選択している不動産所有者である顧客は自分自身が査定依頼をかけている不動産の所有者のケースもありますが、配偶者や子供等の親族等も多くおられます。

売却の動機が真に差し迫っている方もおられる反面、将来の相続や離婚、担保提供、マイホームを持っている奥さん同士の井戸端会議で自分の不動産価格を自慢しあう等潜在的な理由による方の方が圧倒的に多いのも事実です。ですから査定をした後に、いつまでたっても不動産の売買市場に査定した物件が出回ってこないようにも思えます。ましては成約した事例というのは確率的に23%といったところでしょうか。

 これまでも不動産業者は顧客から不動産の売却を依頼されたときは「売れるであろう価格」を様々な角度から導き出す作業を行います。土地や建物がひとつひとつ違うように、世の中に全く一緒という不動産はそうはありません。工場等で大量生産されるスーパーで売っているような画一化された商品とは違うのです。

何百区画という大量に供給される大型開発を受けて造成された住宅用の土地においても、似たような土地はあってもひとつひとつ見ていけば接道状況、間口の広さ、奥行きの深さ、土地形状、土地の高低差、面積等々に違いがあります。

査定作業というのはそれらひとつひとつを点数化していき「査定価格」を導き出していくのです。建物においても然りで、減価償却していく建物種類や構造に応じて経年劣化の状況や、定期的なリフォーム等も考慮に入れて建物内外部を建築の専門家と一緒に目視を重ねて瑕疵といわれる個所等の発見もしながら、現在の現存価格を算出していく作業を行います。その結果が「価格査定書」という形になって出てくるわけです。

  多くの「一括査定屋さん」の査定フォームの中に「建物の構造が何か?」を要求していないケースが殆どと云って良いほどみられます。「一括査定屋さん」自体は何も査定を行わない為に、ひょつとしたらわかっていないのかとも思ってしまいますが、建物の現存価格を出していくには建物は土地と違って「減価償却していく資産」であるため現存価格を出すには、その構造を知る必要があります。木造なのかプレハフ゛なのか、または鉄骨、鉄筋コンクリート造なのかによって償却年数が大きく違うからです。又、店舗等の事業用なのかマイホームなのかによっても同じく償却年数に違いが出てきます。

何故、「一括査定屋さん」サイトのフォーム欄にこの項目がないのかはよくわかりませんが、こういう基本的なことを省いて「一括査定屋さん」サイトを運営しているのかと思うと少しびっくりしてしまいます。

恐らくは査定項目は「より単純に!」と簡素化していくことが、より多くの顧客からの査定依頼に繋がるのではないかとという考えから意図的に省いているのではないかというのが私の考えです。昔の流行語にある゛Simple is best゛なのでしょう!

 ですからいかにたくさんの査定依頼客を自社の「一括査定屋さん」サイトに誘導するかが肝になっているのではと考えています。

  改めて云いますが、例えが悪いかもしれませんが「不動産の一括査定屋さん」サイトは田舎の市町村議員が選挙の際に、選挙カーから自分の名前を連呼するやり方によく似ています。何の根拠もなく「貴方の不動産は高く売れますよ!」と繰り返し云い続けることは何か問題があるような気が致します。

次は●「机上査定」と「訪問査定」