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制限能力者と契約をするには?条文の上をクリックすると根拠条文が見れます

民法の一部を改正する法律が平成11年12月に成立し、遺言の方式に関する部分については平成12年1月から、その他の部分については平成12年4月1日から施行されました。本改正によって従来の後見制度および遺言の方式並びにこれらに関する規定が変わりました。

 ですから、旧法による用語に関しては、次のように読み替えることによって概ね新法に対応することができます。

 旧法          新法

無能力者      制限能力者

無能力       能力の制限

禁治産者      成年被後見人

準禁治産者     被保佐人

禁治産宣告     後見開始の審判

準禁治産宣告   保佐開始の審判

心神喪失      精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く

心神耗弱      精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分

 民法上無能力者として規定されているのは未成年者,禁治産者,準禁治産者です。20歳未満の未婚の未成年者が契約をする場合,原則として法定代理人(親権者又は後見人)の同意を得るか,法定代理人が未成年者の代理人として契約をすることが必要です(民法4条1項)

 次に自分の行為の結果について合理的な判断をする能力を有していない,いわゆる心神喪失の常況にあり家庭裁判所により禁治産宣告を受けた禁治産者は、禁治産者自ら有効な契約などの法律行為をすることは出来ません。禁治産者自らがたとえ後見人の同意を得て契約をしても,その契約は取り消すことが出来ます。したがって禁治産者が契約をする場合は禁治産者自ら契約をするのではなく,常に後見人が禁治産者に代わって契約をするのでなければ取り消される危険性があります民法8条・9条)。買主としては売主に精神異常と認められるような事情がある場合には禁治産者の代理人の後見人と売買契約をする必要があります。

 心神喪失の常況とまではいかないが心神耗弱あるいは浪費者として完全な判断能力がないと認められる者で、家庭裁判所により準禁治産宣告を受けた準禁治産者の場合,準禁治産者自ら契約などの法律行為をすることになりますが,不動産の売買契約などの重大な行為については保護者たる保佐人の同意を得なければ完全に有効な行為は出来ません(民法12条1項。保佐人の同意を得ずに準禁治産者が不動産の売買契約をすると,その契約は取り消すことが出来ることになります。